『哲人たちの人生談義 ストア哲学をよむ』目次と引用
國方 栄二 著
目次
序章 幸福問答
敬遠された「幸福論」/ソロンとクロイソスの幸福問答/アリストテレスの批判/もうひとつの幸福問答/カントの批判/幸福論を再考する
第一章 新時代のための哲学──インペリウムの下で
哲学とは何であったか/哲学嫌い/ピタゴラスの比喩/ポリス時代の哲学/ポリスの崩壊/ストア派/エピクロスの園/ローマヘ/キケロの格闘/ローマ時代のストア派/エピクロス以後
第二章 自然に従って生きる──自足する心
アウタルケイア/自然に従って生きる/徳とは何か/理性の役割/適切な行為/エピクロス派のアウタルケイア/エピクロスの現実主義
第三章 自由に至る道を探す――意志と自由
強さをどこに見出すか/無常観/カルペー・ディエム/ニール・アドミーラーリー/われわれの力の及ぶものと及ばないもの/アリストテレスの説明/精神の自由/意志/心像との戦い/ストア哲学批判
第四章 必然の呪縛を逃れる──運命と摂理
運命論/必然の呪縛を切る袂袒原子の逸れ(クリナメン)/永劫回帰の思想/運命とは?/運命と自由/必然の呪縛を逃れる――犬と円筒の比喩/セネカの関心/エピクテトスの場合/人生の舞台に立つ役者/運命に委ねるとは?
第五章 情念の暴走を抑える──理性と情念
ストア派の知性主義/怒りについて/賢者も時には怒る/プルタルコスの『怒りを抑えることについて』/メデイアの怒り/情念をコントロールする/精神の城砦を築け
第六章 失ってはならぬもの──人格と尊厳
死の倫理/エウタナシア/ブタは殺さない/ソクラテスの自殺否定論/ストア派の自殺論?/エウロゴス・エクサゴーゲー/人格主義として/安楽死と古代の自殺論
終章 哲人たちの人生談義
心の豊かさを求める/中間的なものの存在位置/人生の意味/ストア哲学から学ぶ?
あとがき
引用
本書は古代の哲人たちのうち、ローマ時代のストア派の哲人たちの幸福論に焦点をあてて論じる。
ローマのストア派の哲人たちの人生談義をあらためてたどってみたい。
彼らが問題にしたことの根源をギリシア古典期の哲学や初期・中期ストア派の思想に遡って考えてみることにしたい。
序章 幸福問答
いずれの哲学も、利得を求める生きかた、名誉を求める生きかたから距離を置こうとするものであることは、共通している。
本書はこうした哲人たちの人生談義をみることを目的としている。
第一章 新時代のための哲学